海外勤務インタビューシリーズ、今回は女性の中でもかなりハイキャリアな方に仕事の本音を教えて頂きました!
金融業界は数字に強いイメージがあるため理数系の男性社会というのが有名です。その中で女性としてキャリアを積み、その後米系総合コンサルティングファームに転職しさらなるキャリアアップに成功された女性。
シビアな世界で経験した、海外で必要な英語力のホント・ウソ、そして海外勤務で得た特別な経験を今回シェアしてくださいます。
これから海外で働こうと考えている方、英語について心配な方、いらっしゃいませんか?
海外で働くための英語力について、100人いれば100通りの答えが返ってきます。海外勤務・様々な国で駐在員として働いた経験を持つ彼女ならではのアドバイスを是非参考にしてみてください!
プロフィール
名前:NH
肩書き:会社員
出身地:関西
現在:東京(月の半分程度は出張で海外)
年齢:30代
経歴
- 新卒で大手日系金融機関に就職。法人営業経験後、海外勤務の希望を出し、東南アジアの拠点に駐在(派遣期間2年程度)
- 帰国後、米系の総合コンサルティングファームへ転職。M&Aや海外進出、業務改革プロジェクトに従事。
- 自分の手で海外事業を作る経験がしたいと思い、事業会社(大手IT系)に転職し、新興国での事業開発を担当。毎月のように海外出張で新興国各地を飛び回る。
金融業界・コンサルティングファームを選んだ理由は何ですか?
金融機関、コンサルティングファーム、事業会社全てにおいて「海外(新興国)で仕事をするチャンスはあるのか」というところです。
少し私の育ってきた環境の話をさせていただくと、私には兄が1人いるのですが、私の両親は私や兄がやりたいことについては平等に機会を与えてくれました。
私は「あなたは女性だから」と言われてやりたいことをさせてもらえないことがあまりなく、両親は私のやりたいことを全力で応援してくれていました。
「世の中には色々な人がいるけれど、きちんと努力すれば報われるチャンスは大きくなる」と教えてくれたのも両親だと思います。
新卒で入った金融機関でも入社当初から努力すれば海外で勤務できるのではないかと信じていました。最初は「難しいのではないか」と周囲は思っていたようでしたが、私も諦め悪く、いつも上司に「早く海外に行きたい」と伝え、時には役員クラス、社長に直談判したこともありました。(そしてよく怒られました笑)
でも、それだけ仕事でも努力をしていましたし、海外に行って働く自信があったから出来ていたと思います。
凄い行動力ですね!
金融・コンサルティングファームを選んだ理由が海外ということは、もともと海外勤務希望だったのですね。
周囲に難しいのではないかと思われるということは、狭き門だったりすると思いますが、上層部に直談判する行動力は見習いたい所です。
まさに自分の未来を自分でつかんだ女性ですね!
駐在員として海外勤務が決まったわけですが、実際に海外で働く上でどれくらいの英語力があれば良いのでしょうか。
「どの国」で「誰を」相手に仕事をするのかによると思いますし、英語圏(イギリスやアメリカ)だと生活でもある程度必要だと思います。
一方、例えば東南アジアの国で日系企業の営業担当で、クライアントも日本人であればそこまで英語のレベルは必要とされないと思っています。
日系企業の中でもオフィスは英語が公用語になっている現地の会社もあるので、そのような会社で働くと英語ができなければ仕事が進められないことはあると思います。
ただ言えることは英語が出来て損をすることはありませんので、できるに越したことはないと思います。
私も東南アジアで仕事をするまでは海外留学はしたことがありませんでした。ただ旅行が好き、人と話すのが好きということで、英語の勉強を細々と続けていました。ある程度コミュニケーションでは困らなかったと思います。
英語も大事ですが、もし非英語圏でお仕事をされるのであれば現地の言語も学んでみるのも良いと思います。私も多少勉強をしていました。現地の言葉を話すことができるようになった時から、生活がずいぶん楽になり、友達も増えました。
意外でした!
海外留学経験がなく、海外勤務がスタートされたのですね。
確かに、東南アジアで日系企業担当の仕事などでしたら英語力はそれほど必要がないですよね。本当、おっしゃる通りどこの国で誰を相手にするかによって英語力の必須度合が変わります。
英語力も大事ですが、英語を母国語としていない国に配属される場合はその国の母国語を勉強することで、スタッフに親近感を持たれて仕事がスムーズにできたりします。(これは私の経験談ですが)
現地の言語の勉強もオススメです。
海外で働く上で、英語力より大事な事は何でしょうか?
「国籍」や「性別」、「年齢」、「会社名」などの属性や肩書きで人を判断しないことですね。
「現地人だから時間にルーズ」、「日本人だから信用できる」とは限りません。一人の人間としてどういう人なのかをきちんと向き合うことで日本ではきっと出会わなかった人と出会うことができました。
例えば、現地で貧困層の自立を目的とした会社を起業したフランス人女性、台湾の法務系の省庁から派遣された台湾人男性、日本留学を目指し日本語を猛勉強していたベトナム人女性、旦那さんがサッカーのコーチとして働く為にブラジルから来た家族、ベトナム語を学び、今後留学をすることを考えていた中国人女性・・・英語がネイティブな人もいればそうでない人も多く、結局完璧に英語は話せなくても、その人をどこまで理解しようとしているかに尽きると思います。
私が滞在していた時に中国と日本の国同士の関係が悪化した時期がありました。
当時、私は現地で知り合ったプライベートな話から真面目な話まで出来るとても仲の良い中国人の親友がいたのですが、彼女から「国同士の関係は今良くはないけど、そんなこと私とあなたの友人関係には関係ない。私は本当にあなたに出会って良かったと思う。この国での生活が本当に楽しくなった」と言ってもらえました。
私が住んでいた国を大好きになれたのは現地での交友関係に恵まれたこともあったと思います。
なるほど。
日本に住んでいると日本人しかいないので、肩書で人を判断やすい場面がよくあります。
しかし海外はNGですよね。人種が違うのでこちらの常識があちらの非常識にあたる可能性もあり、人種差別なんて言われたら本当に大変。
そう考えると、海外で働くということは人として他人に接するための大きな勉強になりますね。属性や肩書で人を判断せず、その人の本質をきちんと見てあげること。(こういう経験をしておくと、人事部などで能力を発揮できそう。)
その他学んだ事はありますか?
あとは「偉そうにしないこと」ですね。本当に仕事ができて人間的にも魅力のある人は偉そうにしていません。
私が海外で暮らす中で見ていて一番不快だったのは現地の人に対して敬意を払わない光景で、例えば日本食レストランで現地従業員の方が一生懸命日本語で接客をし、オーダーミスをしたことや日本語が上手く話せないことを馬鹿にしたように笑うといったことは見ていて耐えられませんでした。(そういう人に限って英語も現地の言葉も上手くありません)
私は勤務初日に先輩から「私たちはこの国で働かせてもらっているということを忘れないように」と言われ、いつも心に留めるようにしていました。
もう聞いているだけで心が痛くなります。
現地のレストランで食事させて頂けるのに、態度が大きい方、残念です。
先輩のおっしゃる通り、その国で働かせて頂けることを忘れないようにしたいですね。
結婚か海外勤務を選ぶのか、20代30代の女性は様々なライフイベントがあります。これから海外で働いてみたいという女性へメッセージをお願いします。
性別や年齢関係なく「海外に行きたい」や「この仕事をやってみたい」と思った時がチャンスだと思います。
私は20代半ば、友人たちが結婚するタイミングで海外に出ました。海外赴任が決まった当時、実はお付き合いしている人がいて相当悩みました。
ただ当時はこれまで海外で働くことを目標に全力を出してきたこともあり、私は海外で仕事をする選択肢を選びました。私はあの時、海外に出る決断をして良かったと思っています。良いことも悪いことも含め多くの経験が出来、大きく成長して日本に帰ることが出来ました。
今後、皆さんも色んな意思決定をする場面に直面すると思います。特に女性はライフイベントによる意思決定の連続だと思います。
その際に他人の意見やアドバイスに触れる機会は多いと思います。真面目な方に多いと思うのですが、他人のアドバイスや意見を聞き「両親が心配するから」、「世間的には良く思われていないから」と身動きが取れなくなってしまうこともあると思います。
それでも、ご自身はどう考えているのかというところをもっと大事にしてほしいと思います。自分自身が納得しない人生ほどつまらないものはありません。例え、名の知れた大企業で、スケールの大きな仕事をし、多額の給料を貰い、プールのついた大豪邸に暮らしていたとしても。
人それぞれ大事にしたい価値観があるのですから、自分が大事にしたい価値観は何かを是非考えてみてください。
また、今の時代、海外で働くことについては簡単に情報を得ることができ、ハードルも低くなってきていると思います。もし、海外で働きたいと思っている方はせっかく海外で働くのだから、何となく仕事をするのではなく、「何を実現したいのか」まで落とし込めると現地で辛いことがあっても乗り越えられると思います。
まとめ
NH様、今回取材のご協力ありがとうございます。
最後のメッセージは現在海外へ行こうか悩んでいる方にとって揺れ動くものだったのではないでしょうか。
外側の意見や世界を基準にして物事を決めてしまうと、自分の心が置いてきぼりになります。本当は〇〇したかったのに・・・(←それが本音。)
こっちを選べば周りからよく思われるし、こういう人と結婚すれば安定だし親も喜ぶし、自分が選択した答えが外から批判されないような選択をする。これが一番こわい。
女性は誰だって選択する権限がある。その力を外側(他人)に委ねてしまっては、パワーを失ってしまう。あなたの人生はあなたのものです。
世の中にはNH様のような決断をされた方もいるということですね。
海外勤務は昔より身近なもの、どんどん人生をより豊かにしていきましょう!
今日も皆様のお仕事を応援しております。